ハイレゾってそんなに偉いのか?
パソコンとiPodで便利でスペックが良い環境が持ち出せるようになり、ここ数年、特に2年ほど前からハイレゾと高級イヤホン・ヘッドホンが大いに盛り上がっています。
正直なところ、あまり新商品に触手が伸びないumedonも、イヤホンは数機種持っています。
持っている方はすごい数を・・・プレーヤーも、いやー、すごいですね。
まさかバランス伝送がポータブルに浸透するとは思いもよりませんでした。
2年ほど前からはDSDがキーワード。
今や新しく出る商品で対応していないDACなんて少数派です。
PCMも24bit/192khz対応が普通になりました。
喜ばしいことです。
でも、同時に思うのです。
そこまでのスペックとか、BitPerfectであることって、イコール「音がいい」のか?
僕らが(少なくとも私が)求めているのは、「いい音」であって、「高スペック」ではありません。
最近の録音であれば事情は違うかもしれませんが、50~70年代の音については、スペックでは語れない音が当時の媒体には含まれているように感じます。
アナログマスターを単純にデジタル化するだけではアナログ全盛期の好ましい音にはならない、という技術的な事情が大きく関係しているのですが、このあたりはLPの製造工程でどこでリバーブをかけたのか、とか(実はマスターテープにはVan GelderやRoy DuNannの最終音が残っていないものがあったり)、失われたマイクカプセルの技術(このあたりは戦争も関係するのですが)、とかいろいろなお話があります・・・
詳しくは、こちらを参照。
AES Section Meeting Reports » Pacific Northwest - November 27, 2007
実際にオリジナルもしくはそれに近い音を実際に聴くのがわかりやすいです。
一例をあげましょう。
Victor Feldmanのリーダーアルバム、The Arrival Of Victor Feldman。
London Jazz Collector様のWEBから、オリジナル盤がこちら。
The Arrival of Victor Feldman (1958) Contemporary | LondonJazzCollector
iTunesがこちら。これでもリマスターをちゃんとやっているバージョン。
特にScott LaFaroのベース。
両方ともストリーミングでビットレートも低いですが、iTunesの音源をハイレゾにしたら、オリジナルの音になるでしょうか。逆に、ハイレゾにしても意味が無いほど差が大きいと言えないでしょうか。
知っている方は知っているので、Jazzの有名アルバムのオリジナル盤(1stプレス、モノによっては2ndプレスも)は非常に高価になってしまい、とてもではないですが購入できる額ではなくなってしまいました。
個人的には、オリジナルの音を何とかデジタルで再現してほしい。
それが、何度も再発を繰り返すレコード会社の責務かと思うのです。
もちろんやろうとしてできないのでしょうから、超えるべき壁は大きいのでしょうが、何とかがんばってほしい、というのが正直な気持ちです。
幸い、Van Gelderはまだ現役ですし、Roy DuNannは耳が遠くなったと聞きますが、まだご存命です。当時の技術やノウハウを残すのは、今がラストチャンスだと思うのです。。